2008-08-15

アンリ・ベルクソン

先日、久しぶりに会った友人との会話の中でいきなりアンリ・ベルクソンの名前が出てきた。長い間読んでいなかった名前がなつかしくて、昨年出版された「物質と記憶」をちくま学芸文庫新訳ではじめて読んだ。
きっかけは外的要因だったが、読みはじめて引き込まれおもしろくてあっという間に読みきってしまった。
100年以上前に書かれた書物とはとても思えない現代最先端の話題が随所にみられ、彼の問題提起がすばらしい分析とともに書かれていて訳者合田正人のあとがきにもあるとおりますます研究の対象としてクローズアップされてくるだろうという気がした。少なくともこの5年間に読んだ書物の中では最高におもしろかった。

2008-08-01

相互浸透

相互浸透という言葉は現在のKeywordとなっている気がする。
先に新田義弘のテクストに関するエントリーを書いているが、同じような記述を最近読んだ司馬遼太郎の街道をゆくシリーズ「近江散歩、奈良散歩」の中で見つけておもしろかった。
司馬さんの友人の東大寺僧正でもあった上司さんが読んだ鈴木大拙の「華厳の研究」に関する説明で、「相即相入」という華厳独自の述語については「インターペニトレーション=「相互浸透」「相互貫通」という一語であらわされているそうだ。
相互浸透という言葉はニクラスルーマン社会学の表現の訳語にも登場するが、バイオテクノロジーの核心部分でも重要な研究対象となっている。イオン化した物質の電子の交換がさまざまな反応をひきおこす点は華厳という時間を超えた思想と呼応するところがあっておもしろい。
ついでにインターネットで検索してみると「会計、監査、社会の相互浸透」というように広く哲学用語という感覚で使われているものがあり、古くはエンゲルスが対立物の相互浸透という概念を述べているようだ。